2018年3月15日(木)、「ドリーム・アーツ主催 第4回Sm@rtDB勉強会」を、おりづるタワー内の広島本社にて開催いたしました。
この勉強会は「お客さまにSm@rtDBをよりご活用いただきたい!」という思いで立ちあげました。勉強会に参加いただくことで、以下のようなメリットを実感いただければと考えています。
- サービス利用に関する不安や疑問を解消し、具体的な解決策を得られる
- 一歩進んだより深い、応用的な利用方法を知ることができる
- 他社のリアルな活用事例について情報を得、気になった箇所を集中的に聞くことができる
- 同じような悩みを抱える他のユーザー企業のご担当者さま同士が交流できる
- サービス提供企業(ドリーム・アーツ)と直接会話でき、要望を伝えられる
第4回目にして東京以外での開催は初めてとなる今回の勉強会では、はじめに3社のユーザーさまから「ひびき®Sm@rtDB」の活用事例をご紹介いただきました。
続いてドリーム・アーツから春にリリース予定の「Sm@rtDB」新バージョンと、「Sm@rtDB」の新たなオプション「Enterprise ToDo」を紹介させていただきました。
その後は「Sm@rtDB」の課題・お悩みについて、テーマごとにグループに分かれてディスカッション。最後はオフィスツアーと懇親会を行いました。
大盛況で終了した「Sm@rtDB」勉強会の様子をレポートいたします。
ユーザー事例セッション その1
「脱Notesの取り組みについて―Notes文書のPDF退避―」
ユーザー企業Aさま(利用CL数:Sm@rtDB 6,000CL)
弊社では、1995年から2013年までNotesを利用していました。しかし、グローバルな業態に応じて、いつでも、どこでも、どんなデバイスでも業務が可能な環境に対する必要性が高まり、「Sm@rtDB」への移行に踏み出すこととなりました。
移行を開始した2013年時点で、Notes上には約7,000ものDBがありました。ここから、メールの移行と断捨離により移行対象DBを約2,500まで削減。2015年には、国内の全従業員が必ず利用する社内ポータルとして使っていた、Notes上のDBをすべて「Sm@rtDB」に移行し、類似したDBを削ったところ、約500DBまで減らすことができました。
現在「Sm@rtDB」上にあるDBには、大きく分けて以下の2種類があります。
- 申請系:稟議申請、PC持ち出し申請、IT機器貸し出し申請、など
- 文書管理系:契約管理、クレーム管理、会議管理、業務規程集、など
このうち文書管理系の契約管理DBについては、移行前は国内のみで使っていましたが、「Sm@rtDB」への移行を機にグローバルへと利用を拡大しました。また会議管理は、100から200ある会議ごとにNotes DBを作っていたものを、「Sm@rtDB」では会社/組織ごとに1DBずつで管理するようになったため、DB数を大幅に削減することができました。
そして、Notesからの移行において重要なポイントとなったのが、Notes文書のPDF化です。Notes上のDB利用状況を調査したところ、閲覧はされていても数年間登録や更新がされていないDBの存在が明らかになりました。そこで、DBとしては使用していないが必要なデータをどのように管理するか考えた結果、「Sm@rtDB」にDBとして移行するのではなく、文書をPDF化してデータを保存することになりました。
PDF化された文書の管理にあたっては、文書に添付されているファイルや閲覧権限などを引き継ぎ、検索性を維持しなくてはなりません。そこで考えたのが、Google ドライブと「Sm@rtDB」の併用です。ファイルの格納については、メール移行時にGoogle Apps(現G Suite)を導入していたので、データ容量が無制限に使える Google ドライブを利用しました。Google ドライブ上に文書ごとのフォルダを作成し、文書のPDFファイルと添付ファイルを、両者の関係性を維持したまま格納。スプレッドシートで作成した「台帳」により、目的のファイルを簡単に検索して該当フォルダに移動できる仕組みを作りました。
「Sm@rtDB」上には、「台帳」をメニュー化したPDFファイルの一覧DBを用意し、さらにファイルを探しやすくしました。
こうして文書のPDF化を進めていった結果、約2年間でNotes上の約300DBを完全に廃止することができました。また、開発部門は「Sm@rtDB」を使ったDBの開発に注力し、それ以外のスタッフが文書PDF化の実作業を担うという分業により、効率的な移行作業ができたと思います。
この300DBのPDF化に加えて、現在まで約1,700DBを「Sm@rtDB」に移行しました。今後もNotesに残っている500DBの移行を順次進めていきます。
ユーザー事例セッション その2
「コミュニケーション基盤の歩み」
ユーザー企業Bさま(利用CL数:Sm@rtDB 6,500CL、INSUITE 6,500CL)
弊社では、ビジネスポータルやメールなどのツールを含むコミュニケーションのインフラを「コミュニケーション基盤」と呼んでいます。Notesから移行した2005年よりこのコミュニケーション基盤の一部として使っているのが、「INSUITE®」と「Sm@rtDB」です。
弊社がコミュニケーション基盤の刷新に乗り出し、「INSUITE」と「Sm@rtDB」の導入を決めた背景には、主に3つの要因がありました。
ITツールによるワークスタイル変革への志向。分社後のグループ内コミュニケーション強化の必要性。そしてNotesに対する不安と課題です。
移行する前は、コミュニケーションにおけるさまざまな用途をNotesだけに頼っている状態でした。しかし、ブログやプレゼンなどそれぞれの目的に最適な専用ツールをTCP/IPベースで連携させ、ツールを構築していくべきだという考えから、Notesからの移行を決めました。
また、全事業を分社化したのをきっかけに、本社から子会社、子会社同士、各組織内部といったように、コミュニケーションラインが複雑化したため、さまざまなラインで密にコミュニケーションが取れる環境が必要でした。
こうしたITツール連携とコミュニケーション強化を実現させたのが、「INSUITE」と「Sm@rtDB」です。「INSUITE」のポータル画面で、ブログや掲示板といったほかのツールと連携させながら、全社員に見て欲しい情報や重要度の高い情報をより目立つところに配置するといった工夫によって、グループ内のコミュニケーション強化を図っています。
また、Notesにはさまざまな機能がある反面、エンドユーザーが使いこなせない高度な機能が多い点について課題を感じていました。開発スキルのある人が難しい機能を使って作りこんだDBは、作成者が異動などでいなくなってしまうとだれも使えなくなってしまいます。エンドユーザーに開発を委ねるのであれば、Notesの7割の機能があれば十分です。
そこで、「Sm@rtDB」の導入にあたっては、ある程度の権限をエンドユーザーに預け、それ以上の難しい部分はシステム部門が請け負う、という体制にシフトしていきました。
また、作成したDBについては、定期的に課金データを作成し、不要なDBがないか棚卸しを行うことで無駄の削減もしています。
この移行においてポイントとなったのは、ユーザーを巻き込んだ体制の整備です。
ユーザーとなる事業会社のなかでも、移行準備の早い段階から企画・統括部門のマネージャークラスと若手・中堅クラスに、それぞれポータル推進の責任者と担当者としてプロジェクトに関わってもらいました。システム部門はこのポータルキーマンに対して先に説明会を実施し、彼らをとおして現場のメンバーに情報を落とし込んでいく、という体制をつくりながら移行を進めていきました。
ほかにも、「Sm@rtDB」の開発担当者に対し開発講習会などを実施したり、ユーザーからの問い合わせを受け付けるためのヘルプデスクを設置したりといった体制づくりを行いました。
またマニュアルを作成し、内容が陳腐化しないようバージョンアップなどにあわせて更新したものをWeb上に公開しています。ヘルプデスクでも詳しい情報についてはマニュアルを案内することで、ユーザー部門に対するサポート体制を整えながら、システム部門の負担を減らすことができています。
システム部門側の体制においては、少人数でもミスを少なくスムーズに業務ができるような工夫をしています。たとえば、定型処理の「運用業務一覧」という手順書を作成しました。
また、非定型処理については部門内の「リリース確認会」でスケジュールや内容の確認をしたり、アカウント権限制限についての下調べなどを行ったり、本番作業時は必ず2人体制で実施することを徹底しています。こうしてシステム部門内で「Sm@rtDB」運用における省力化と効率化に努めています。
プロジェクトのなかで課題に取り組む際に、私たちが大切にしてきた姿勢が3つあります。
- 自ら悩み、体験して検証する『挑戦』
- 事業を重要視した現場密着による『連携』
- 持続的な活用促進のための『仕組みづくり』
「Sm@rtDB」を長く使ってきた弊社でも、さまざまなITツールの整理やストレージ消費の増大など課題を抱えていますが、この3つの姿勢をもってこれからも課題に取り組んでいこうと思います。
ユーザー事例セッション その3
「お客さま対応・お客さま視点醸成への取り組みについて」
ユーザー企業Cさま(利用CL数:Sm@rtDB 272CL)
弊社は、小売や卸売などさまざまな業態を持つ企業グループの持ち株会社です。弊社のお客さま相談室では、グループ企業全体のお客さまの声を受け付けています。2010年に「Sm@rtDB」を導入して以来、そのお客さま相談室の業務において欠かせない存在となっているのが「お客さまの声システム」です。
「お客さまの声システム」に格納されているのは、グループの店舗や工場、営業部門、そしてお客さま相談室に寄せられた、お客さまからのお問い合わせやご指摘のデータ約226,000件です。
お客さまからご指摘があると、その内容を「お客さまの声システム」に登録し、原因などを分析した情報をDBに蓄積。その記録をもとにお客さまへの対応を行うという体制をとっています。
また、2012年にはWebサイトのお問い合わせ窓口と、2013年にはCTI(Computer Telephony Integration System)と連携。徐々に活用の幅を広げ、現在は事故情報や文書の管理にもバインダを利用しています。
「Sm@rtDB」導入前のお客さま相談室では、ご指摘情報の受け付けと報告を紙文書で行っていました。しかし紙での情報管理には、情報共有が遅かったり、原因調査・対策の分析に必要なデータを取ることができなかったり、という問題がありました。
そこで、お客さまの声をデータ化することで、より詳細な情報を管理・共有し、危機管理などにつなげたいという思いから、「お客さまの声システム」構築に踏み出しました。
「お客さまの声システム」の構築にあたっては、まずグループとしてのお客さま対応における「ありたい姿」を考えました。重視したのは、いつもお客さまにご満足いただける対応ができていることと、「お客さまの声」が経営に反映されていること。これらを実行することで「お客さまにいつも『ありがとう』と言っていただける企業活動ができている」状態を、「ありたい姿」として設定しました。
こうした軸がぶれないよう、お客さま対応において必要な業務フローを作成しましたが、実際の構築の段階で壁となったのが、要件の抽出です。エンドユーザー部門は、業務についての深い知識や理解がありますが、システム化するための要件や、システム化したあとの新たな業務の流れをなかなかイメージできませんでした。
そこで、まずシステム部門に簡単な画面を作成してもらい、その画面を見ながら必要な項目を設計し、アドオンを追加していく、という流れを繰り返す「プロトタイプ・スパイラル方式」で開発を進行。こうすることで、エンドユーザーが主幹となって「お客さまの声システム」を完成させることができました。
導入後は、記録が詳細に残せるようになったことと、参照しやすくなったことにより、過去のデータをお客さま対応に活用できるようになりました。
このシステムをグループ全体に定着させるまでには時間がかかり苦労もありましたが、DB活用による業務効率化から、少しずつ改善活動に取り組む時間ができました。
現在では、蓄積データを活用したお客さま対応の改善やクレーム発生の予防、グループ各社各部門への「お客さまの声」情報の共有によるお客さま視点醸成といった活動を実施しています。
今後もグループ全体に働きかけながら、お客さま相談室として新しいお客さま対応の道筋づくりをリードしていきたいと思います。
「Sm@rtDB」春バージョンの新機能紹介
2018年春にリリース予定の「Sm@rtDB」新バージョンの機能を、「Sm@rtDB」プロダクトオーナーよりご紹介させていただきました。 春バージョンでは「Sm@rtDB」をさらに便利にご利用いただけるよう、機能改善を予定しております。ぜひご期待ください!
「Enterprise ToDo」の紹介
「Sm@rtDB」の新たなオプション「Enterprise ToDo」についてご紹介させていただきました。 組織間の業務連携に特化したToDoを一元管理する「Enterprise ToDo」についてはこちらをご覧ください。
課題ディスカッション
セッションのあとは、ご参加いただいた皆さまに「Sm@rtDB」運用における課題とその解決策について、テーマごとのグループに分かれてディスカッションしていただきました。
今回のテーマは「利活用促進」と「維持・メンテナンス」。それぞれのディスカッションのなかで取りあげられた課題と、結論として出た解決策を一部ご紹介します。
【利活用促進】
課題
DBを作っても使ってもらえない、またはエンドユーザーが使いこなせていない。
解決策
DBを使ってもらえない要因のひとつは、DBの存在自体を知らない人がいるという状況が考えられる。これについては、DBをどのように使うのか実演するところを見せたり、上司からDBを使用するよう指示を出したりするなど、認知拡大につとめる必要がある。
DBを使いこなせていないエンドユーザーに対しては、教育や使用方法の提案機会を増やすことと、使うことによるメリットを提示して利用する動機を与え、使用経験を重ねて徐々に慣れてもらう、といった方法が考えられる。
【維持・メンテナンス】
課題
エンドユーザー開発の範囲と統制について、権限の開放をどのように許容し、活用していくか。
解決策
権限をエンドユーザーに開放されているユーザー企業Bさまの場合は、現場の開発・運用担当者を巻き込んで開発を進めることがポイントとなった。ただし、現場に完全に任せてしまうとエンドユーザーのキャパシティを超えてしまうため、バランスよく運用できる体制づくりが必要である。
アンケート結果
勉強会全体について
- 参加者の声
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- 他社さまがどういった運用をしているのか知ることができ、自社開発の参考になりました
- さまざまな利用方法があったり、根本的な考え方が違う部分があったりと、興味深かったです
- 他社の方と接点を持つことができて良かったです
ユーザー事例セッション その1 について
- 参加者の声
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- Notesから「Sm@rtDB」への移行の取り組みについて、わかりやすくご説明いただき参考になりました
- ほかのツールを併用したNotesデータの移行が参考になりました
ユーザー事例セッション その2 について
- 参加者の声
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- 推進体制を確立させて展開することが重要だと感じました
- 「Sm@rtDB」だけでなく、複数のツールを多角的に使うというスタイルが参考になりました
ユーザー事例セッション その3 について
- 参加者の声
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- お客さまの声のDB管理や、明確な期限を持ったお客さまへのレスポンスフローが参考になりました
- エンドユーザー視点のお話を伺えて参考になりました
第4回を迎えた「Sm@rtDB」勉強会では、参加された方からほかのユーザー企業さまの持つ課題や活用方法を知ることができたことへのご満足の声を多くいただきました。ディスカッションのあとに開催された懇親会では、参加者同士、ディスカッションだけでは語りきれなかったこともお話しされていたようです。
「Sm@rtDB」勉強会は今後も継続して開催してまいります。「Sm@rtDB」春バージョンもどうぞお楽しみに!